【白井さんのエッセイ】レシピの名前は仕上がりの・・・

2021年04月02日

 レシピの名前は仕上がりのイメージを伝える大切なもの。
このままで伝わるのかな・・・と最近気になっていたのは「肉のたたき」です。


【白井さんのエッセイ】レシピの名前は仕上がりの・・・

 
 20年くらい前までは「たたき」といえば鰹のこと。5枚おろしの生のかつおに金串を刺し、ワラも炭火もないけどせめてガスでと直火焼きをして切り、大皿に並べ、ネギや土生姜、ちょっと気にしながら「好みでにんにくもね」と、たっぷり薬味を載せ、生醤油や手作りポン酢で召し上がれ・・・。毎年4月から5月の料理教室で「鰹のたたき」をそんな風に伝えてきました。

その「たたき」、時代とともに家ではガスの直火からフライパン焼きに、スーパーや百貨店でも「鰹のたたき」として年中売られるようになって、真空パックも出回り、次第に初夏のごちそうというハレ感が失われ、手軽な料理になってしまいました。そんな「鰹のたたき」に代わって登場したのが、赤身の塊肉で作るいわゆる「肉のたたき」です。これにはわぁ~と声が上がります。

「たたき」らしく、お刺身を盛りつけるように、薬味を添え「和」の盛りつけをしていた「肉のたたき」も、少しずつ和の薬味だけでなく、野菜もたっぷり、時にはタレにハーブやオリーブオイルを入れたり、おろしたチーズを加えたりすることも増えてきました。これって「たたき」なのかなと思いながら、野菜やタレを添えている時、イタリアの薄切り肉料理「タリアータ」にふと思い当たり、「肉のたたき」にタリアータ風とひと言添えると料理を伝えやすいかもと納得しました。

 今は、お肉屋さんで「たたき用のお肉ください」と伝えると売ってもらえないお店もあります。赤身ブームとは言え、生肉を食べさせることになっては・・・と食の安全への配慮からだそうです。そこで「たたき」を作る時は、厚めのモモ肉のステーキ肉で作ってみられるといいですよ。ここではレシピのポイントを簡単に。まず肉は常温にもどしましょう。塩こしょうしたら、上下もエッジも全面をそれぞれ1~2分ずつまんべんなく焼き、アルミ箔に包みます。あら熱がとれるまで室温に置き、5~6時間冷蔵庫で休ませてドリップをしずめましょう。切る時は食べよくうす切りで。中は少しだけ火が通った赤みをおびたピンク色に仕上がります。

詳しくはナッツkitchenをご覧ください。ドライプルーンのおいしさと一緒にどうぞ。


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